相続財産に土地が含まれるケースについて
相続が発生した場合に相続人の間で遺産分割を行うにあたっては、まずはどのような財産が残されているかをリサーチする必要があります。
親や配偶者など近しい家族や親族が亡くなった場合でも、亡くなった本人しか把握していない財産があったり、本人も存在を忘れている財産もあったりするため、細かなリサーチが求められるケースも少なくありません。
日本社会においてはマイホーム志向が強く、土地に価値を置く傾向が強いため、相続財産の中に土地が含まれるケースが多く見られます。
自宅の宅地をはじめ、市価が安いときに資産として買ってあった土地があったり、亡くなった方が遠い昔に相続した田舎の土地があったりするほか、不動産投資に積極的だった方なら海外に土地を所有しているケースもあるので、幅広いリサーチが必要です。
また、会社を経営していたり、何らかの事業を行ったりしていた場合、会社の事業用地が会社名義ではなく、経営者個人名義になっていることもあり、その場合には事業用地も相続財産に含まれます。
なお、自宅が借地の上に建っているケースもあり、その場合には土地の所有権ではなく借地権や地上権など、土地を借りたり利用したりする権利が相続されます。
リサーチと相続評価
亡くなった方が遺言書や財産目録を残していてくれればスムーズですが、故人が明確にしていない場合には遺品の中から権利証を探したり、登記簿の確認が必要になったりすることもあります。
故人がリストを作成していない際に土地の所有状態を確かめる手段として、最もスムーズなのは固定資産税の支払いがあるかを調べる方法です。
土地の所有者であれば、毎年、固定資産税の納税義務があるため、土地の所在地の市区町村から、例年6月ごろに納付税額の案内通知や納付書が届きます。
また、固定資産税を口座引き落とししている場合には故人の預金通帳の引き落とし履歴を調べることで、目途をつけやすいです。
なお、登記簿を調べた場合には、実際は故人が所有していた場合でも、登記名義が別人であるケースもあるので注意しましょう。
たとえば、自宅の土地の場合、本人が購入してマイホームを新築していれば、多くのケースでは本人名義になっていますが、先祖代々の土地や先代から相続した土地である場合、名義が祖父のままになっていることも少なくありません。
その場合には、まず祖父から亡くなった父親へと名義変更を行ったうえで、新たに遺産分割によって取得した方へと名義変更手続きを行うことが原則として求められます。
名義変更にあたって
相続が発生すると故人の財産は一旦すべて相続人全員の共有財産となります。
そのため、本来であれば、相続発生後、遺産分割協議が整うまでの間、共有名義での名義変更が必要です。
もっとも、実務的にも共有登記は省略でき、遺産分割で取得した方が相続登記を行えば問題ありません。
名義変更にあたっては相続人全員が合意して実印を押した遺産分割協議書と全員の印鑑証明書、故人の出生時から死亡時までの原戸籍や相続人の戸籍謄本や住民票などが必要で、不備があると受理してもらえません。
書類の取得や作成で困ったときには、行政書士の力を借りるのがおすすめです。