遺産分割協議を行う必要がある
被相続人の意思を示す遺言書の内容に相続人となる全員が合意に至った場合、相続する遺産の分割について話し合われる遺産分割協議が開始されます。
預貯金などの現金の分配は単純な計算に基づいて手続きが進められますが、土地や建物などの不動産にまつわる相続ではトラブルがつきものです。
そのため、被相続人の死亡を機に、相続による揉め事によって親戚間の関係が感情的にこじれてしまうケースは少なくありません。
遺族同士の争いごとに発展させないためにも、正しい法律的な知識とともに遺産分割協議の流れを理解しておくことが大切となるでしょう。
遺産分割協議書を作成するタイミングについて
遺産分割協議という場において、相続人となる全員が参加して遺産の分配を話し合います。
遺産分割協議書の作成は、相続人の全員の同意によって遺産分割協議の場を設ける準備が整った段階で、同時に行わなくてはいけません。
遺産分割協議書とは、話し合いにおいて遺産分配についての合意内容を明らかにするものであるため、一つひとつの財産を細かく記載することが求められます。
遺産分割協議書を作成する主な目的とは
重要な契約を行う場合に文書を取り交わすように、遺産分割協議書の作成もトラブルを未然に防ぐ役割を担っています。
遺産相続については民法で法定相続分が定められているため、遺言書がなくても法に基づいて遺産を分割することが可能となっており、遺産分割協議書は必要ないかもしれません。
ただし、遺言書がない場合の相続を相続人同士の話し合いによって分配しようとするときには、遺産分割協議書を作成しておくとよいでしょう。
遺産分割協議書の具体的な作成方法
被相続人が死亡すると相続が開始され、相続人調査により戸籍謄本を集めなければなりません。
なぜなら、相続人が誰なのかわからないまま安易に手続きを進めてしまうと、後々大きなトラブルや揉め事の一因となりかねないからです。
場合によっては膨大な調査が必要になりますが、調査を終えてからようやく遺産分割協議がはじまり、遺産分割協議書の作成がスタートします。
遺産分割協議書には法律によって定められた様式はなく、手書きでもパソコンによって作成しているものでも有効です。
表題を入れるなどの基本的な事項や、不動産に関わる項目を登記簿の通りに記載するなどのルールを理解していれば、書面の作成自体は難しいものではありません。
さらに、遺産分割協議書は相続人全員の署名と実印による押印がなければ、遺産分割協議書として意味をなさなくなってしまいます。
協議の結果が正しく記載されているのか、誰の遺産を、誰が相続人として分割したかなど、正確な情報を残すための重要な書類です。
遺産分割協議書の作成および保管方法などについては、遺産分割協議がはじまろうとするタイミングで専門家に相談しておくとよいでしょう。
適切なアドバイスがあれば、煩雑な相続の手続きも円滑に進められます。