名寄帳(なよせちょう)とは、固定資産税を課税するために、市区町村が作成している固定資産課税台帳を所有者別にまとめたものです。
亡くなった人が所有していた土地や家屋を調べるには、名寄帳を確認します。
自分が相続人になったら、遺産調査の一環として名寄帳を確認するとよいでしょう。
名寄帳の取得方法
名寄帳は市区町村の役所で閲覧及び取得することが可能です。
複数の市区町村に土地や家屋を所有している場合は、それぞれの市区町村で名寄帳を閲覧、取得する必要があります。
名寄帳を確認すると、その人の所有するすべての土地と家屋を把握できます。
そもそも被相続人がどの市区町村に土地や家屋を所有しているかどうかがわからなければ、どこの役所で名寄帳を閲覧、取得できるのかがわかりません。
被相続人が1月1日時点で所有している土地、家屋は毎年4〜6月に納税義務者に届けられる固定資産税・都市計画税の課税明細書に記載されています。
ただし、1月2日から死亡するまでに新たに取得したり、処分したりした土地の情報は反映されていません。
課税明細書の記載されている土地や家屋の所在地の市区町村で、名寄帳を閲覧・取得することで、最新の情報を確認できます。
名寄帳は閲覧のみを行うことも可能ですが、ほかに共同相続人がいる場合にはその人たちも確認できるように、取得しておくことをおすすめします。
手数料は市区町村によって異なりますが、有料のところでも300円程度のところが多いようです。
役所の窓口で取得することはもちろん、郵送での取得も可能です。
しかし、名寄帳は誰もが取得することができるわけではありません。
取得することができるのは、所有者本人や親族、納税管理人、相続人とその代理人などです。
名寄帳を取得する際には、所有者との関係を証明するための書類が必要になります。
この取得するために必要な書類は、役所や所有者との関係によって異なりますので、それぞれの役所で確認しましょう。
名寄帳が相続調査で必要になる場合とは
名寄帳は個人が所有していた家屋や土地の情報が一覧表形式になっているので、相続財産の調査に活用できます。
しかし、故人が所有していた不動産を被相続人がすべて把握できている場合には取得の必要はなく、固定資産税の課税明細書のみを確認できれば十分です。
相続財産の調査で名寄帳が必要になるのは、固定資産税の課税明細書を紛失した場合や、故人が複数の宅地、家屋や農地や山林などを所有あるいは所有していた可能性がある場合です。
また個人が不動産を他の人と共有していた場合にも、課税明細書が届いていない可能性があるので、名寄帳の確認が必要になります。
相続財産の調査において便利な名寄帳ですが、取得や記載内容を読み解くことができる自信がない、あるいは時間が確保できない方は行政書士などの専門家に依頼するのもよいでしょう。