「かなぎん」の愛称で親しまれる神奈川銀行。1953年の設立以来、神奈川県横浜市を中心に店舗を展開してきた第二地方銀行です。この記事では神奈川銀行に口座を持つ方が亡くなった場合の相続手続について解説していきます。
神奈川銀行の相続手続の流れ
神奈川銀行は横浜市を中心に、神奈川県内各地に支店を置く地元密着型の金融機関です。神奈川県で生まれ育った、もしくは長く暮らしている方なら、神奈川銀行のいずれかの支店に口座を持っているケースも多いのではないでしょうか。もしそのような方が亡くなった場合は以下のステップで相続手続きを行う必要があります。
関連記事:『銀行預金の相続手続に期限はある?手続きの手順や注意点について解説』
相続発生の連絡
まずは亡くなった方(口座名義人)と取引があった支店に、相続が発生したことを連絡します。取引支店がわからない場合は「亡くなった時の住所の最寄りの支店」に問い合わせてみるとよいでしょう。なお来店予約などは特に必要ありませんが、あらかじめ電話で連絡しておくとスムーズです。
神奈川銀行に相続発生の連絡をすると、その後の手続きの流れや必要書類について説明する「相続預金の支払手続等に関するご案内」をもらえます。
必要書類の準備
「相続預金の支払手続等に関するご案内」を受け取ったら、相続の状況に応じて必要書類を準備します(書類の内訳については後ほど説明します)。
ちなみに神奈川銀行の相続手続では、「払戻手続」と「名義変更」のいずれかを選ぶ必要があります。どちらを選んでも手続きの流れや必要書類に極端な違いはありませんが、不明点があれば必ず支店窓口で確認することが大事です。
書類の提出
必要書類が揃ったら「相続預金の支払手続等に関するご案内」に同封されている返信用封筒で郵送、もしくは最寄りの店舗に持参して提出します。書類に不備があると後日追加提出を求められて余計な時間がかかるため、提出前に書類をしっかり確認するようにしましょう。
払い戻し等の手続き
すべての必要書類がきちんと提出されていれば、おおむね1〜3週間程度で口座への払い戻し、もしくは口座の名義変更が行われます。払い戻しの場合は手続き終了後に未記帳分の取引明細や解約金の計算書が送られてくるため、他の相続手続がすべて終わるまで大切に保管してください。
用意する書類について
神奈川銀行の相続手続では、他の金融機関と同じように戸籍謄本や印鑑証明書などが必要です。具体的にどのような書類を用意するかは「遺産分割協議書」や「遺言書」の有無によっても異なるため、神奈川銀行に相続の連絡をする際は、あらかじめその辺の事情(相続の状況)をしっかり確認しておくとよいでしょう。
関連記事:『行政書士に遺産分割協議書作成を依頼するといくらかかる?費用相場について解説』
関連記事:『遺言が見つかったらどうすればいい?執行の手順と遺言執行者への報酬について』
遺言書・遺産分割協議書がない場合
遺言書も遺産分割協議書もない状態で手続きを行う場合は、以下の書類が必要です。
- 相続手続依頼書(相続人全員の署名と実印での押印が必要)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したすべての戸籍謄本・発行から6か月以内のもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 被相続人の預金通帳とキャッシュカード(紛失している場合は無くても可)
- 申請者の本人確認書類(免許証など)
遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
遺産分割協議が行われ、遺産分割協議書によって相続分が決められている場合は以下の書類が必要です。
- 相続手続依頼書(相続人全員の署名と実印での押印が必要)
- 遺産分割協議書(神奈川銀行の口座を相続する人についての記載が必要)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したすべての戸籍謄本・発行から6か月以内のもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 被相続人の預金通帳とキャッシュカード(紛失している場合は無くても可)
- 申請者の本人確認書類(免許証など)
公正証書遺言・秘密証書遺言がある場合
遺言書にはいくつかの種類があります。遺言書が公証人役場で作成されたもの(公正証書遺言、秘密証書遺言)である場合は、以下の書類が必要です。
- 相続手続依頼書(預金を相続する人の署名と実印での押印が必要)
- 公正証書遺言もしくは秘密証書遺言(正本または謄本)
- 被相続人の戸籍謄本(死亡時の戸籍謄本・発行から6か月以内のもの)
- 預金を相続する人の戸籍謄本
- 預金を相続する人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 被相続人の預金通帳とキャッシュカード(紛失している場合は無くても可)
- 申請者の本人確認書類(免許証など)
自筆証書遺言がある場合
被相続人が作成・保管していた自筆証書遺言がある場合は、以下の書類が必要です。
- 相続手続依頼書(預金を相続する人の署名と実印での押印が必要)
- 自筆証書遺言(家庭裁判所で検認済みのもの・原本)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したすべての戸籍謄本・発行から6か月以内のもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 預金を相続する人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 被相続人の預金通帳とキャッシュカード(紛失している場合は無くても可)
- 申請者の本人確認書類(免許証など)
なお「家庭裁判所の検認」については、関連記事『遺言が見つかったらどうすればいい?執行の手順と遺言執行者への報酬について』をお読みください。
その他の必要書類
遺産分割協議が整わず家庭裁判所の調停や審判によって相続分が決定された場合は、家は庭裁判所が発行する「調停調書」や「審判書」が必要になります。その他の必要書類については神奈川銀行の支店で必ず確認してください。
関連記事『遺産分割調停の内容と活用方法とは?審判・訴訟との違いについても解説』
神奈川銀行の残高証明書発行について
相続財産の総額が一定以上の場合、相続税の申告が必要です(関連記事『相続税の仕組みとは?相続税申告が必要なケースと申告の手順について』)。もし神奈川銀行の口座から払い戻しや口座の名義変更を受けていて、かつ相続税の申告が必要な場合は、死亡日の時点の「残高証明書」を取得しておかなければなりません。
残高証明書を請求するには以下の書類と手数料が必要です。
- 残高証明書発行依頼書
- 被相続人の戸籍謄本(死亡の記載のあるもの)
- 請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本等
- 請求者の実印と印鑑証明書(発行後6か月以内のもの)
- 手数料770円(1通につき)
なお定期預金がある場合は、上記に加えて「経過利息計算書」も必要になります。経過利息計算書の発行手数料は1通につき220円です。
神奈川銀行の相続手続きを専門家に任せるメリット
神奈川銀行の相続手続は原則として相続人や遺言執行者が行いますが、行政書士などの専門家に依頼して任せることも可能です。専門家に依頼する主なメリットは次の通りです。
- 時間の節約になる
- ミスのない手続きをしてもらえる
- 相続に関する相談ができる
ちなみに専門家にもいろいろな種類があります。『遺産相続は誰に頼むのがベター?各専門家の業務範囲や費用・注意点についても解説』を参考にしながら、最もニーズを満たしてくれる専門家を選ぶようにしましょう。
まとめ
神奈川銀行の相続手続は、他の金融機関と比べて特に変わったところはありません。とはいえ神奈川銀行独自の申請書類はあらかじめ入手する必要がありますし、相続手続の細かい流れは今後変更される可能性もあります。相続が発生したらできるだけ早めに連絡をして、余裕を持った手続きを心がけるようにしましょう。